「や、でも…」
「でも?なんです、何か…だめなところとかありましたか…?」
「…ええっと…」

ううっ、ここで人見知りが…。

元々、陰のサイドにいた私なので友達もおらず、それから話す相手もいなかった。
だからあまり人と話す機会もなく、気がつけば大人になっていて…というのは別に今関係ないような気がする。

「話す機会がなかった」それつまり私は話すことが苦手。こんな場面どう考えてもおかしいのに、変ですとか、いやです、とか言えなくて結局わたわたと弱々しい言葉を口にすることしかできなかった。なんて惨めなんだろう。

「何も言えないということは」
「え、っえっえっ、あれ!?」
「僕との運命を、肯定してくれるということですね?」

そう言いながら嬉々として私の手を取って嬉しそうに微笑みながらくるくると小指に赤い糸――彼の小指の糸の端っこを巻き付けてくる。

「あの、あの、やめてください…」

涙が浮かんできた。
悪い人じゃなさそうなのに。でも、なんだか怖くて。



瞬間、私の涙に気がついた彼は――


「あっ、泣いちゃった…」

満面の笑みを顔に浮かべていた。