「あなたは、運命の赤い糸って信じますか?」
「…えっ、あ…」

声が思わず上ずる。

目の前にはにっこりと微笑む、柔らかな空色の髪をしたいかにも優しそうな雰囲気の男性が差し出した小指が。
それには赤い糸が巻き付けられている。

「やっと見つけました、なぎささん。僕の“運命のひと”…!」

「……えっと」

えっと…なんだって。
運命の、ひと?

「ほら、早く僕と繋がりませんか」
「…ちょっと、それはご、語弊が」
「そんなことはどうでもいいですから、ほら早く繋がりましょう、ね?ね?」

薄々勘づいていたけれど。
この人は、なかなかにヤバい。

本能がそう言っているようで身体が軽く震え出したのを私は無視できなかった。