いつか、桜の季節に 出逢えたら

さてと。
あとは、計画の最終確認だ。

「紫苑くんに、お願いがあります」

「はい、なんでしょう」

「計画を遂行するに当たり、また、未来を改変させないために、三つの約束をしていただきます」


<その1>
絵梨花のPCには非公開ブログがあったけど、誰にも見せたくはなかったと思うので、削除しました。
PCごと初期化しようかとも思いましたが、他に必要なものがあったらいけないので、とりあえずブログだけ削除しました。
他に何かが見つかって、私の行動と辻褄が合わないことがあったら、なんとか調整してください。

<その2>
絵梨花の体はだいぶ限界が来ています。
魂が抜ける時が来たら、急に死ぬと思います。
道で死んだら警察沙汰になるので、3月24日の午後になったら病院に行きます。
そのまま入院して死ぬと思うので、絵梨花が死んだ後、みんなへのフォローをお願いします。

<その3>
私(中身)のことを、詮索しないでください。
もし、2025年までの間に出会うと、未来が変わってしまいます。
詮索しても会えないかもしれないし、未来で死んでいるかもしれません。
積極的な改変は避けたいので、探さないでください。

「以上、わかりましたか?」

「1と2については、大丈夫だと思う。3については……どうかなぁ? だって今、この世界のどこかにあなたの本体がいるんでしょ?」

「だめだよ! 会ってしまうと私がここに来れなくなる。それに、あの頃の私は、勉強ばっかりでつまんない子だったから、好きにはならないと思うよ。ゲームはやってたけど、それ以外はずっと勉強みたいな。つまらない高校生活だったなぁ……大学生になってからは、今みたいな性格になったんだけどね」


「……わかった。でも、名前くらいは教えてくれてもいいんじゃない? 中身は絵梨花じゃないのに、絵梨花って言うのもさ」

「名前もダメ。それに、絵梨花に絵梨花じゃない名前で呼びかけるのは、側から見ると変でしょ?」


「わかった。でも、俺のことは紫苑って呼び捨てにして」

くったくなく笑う紫苑の笑顔に、胸をギュッと掴まれる。
人の気持ちも知らないでーー
どこまで好きにさせるのか。

「わかった……紫苑」