次の日、私は新幹線に乗っていた。
窓の外を眺めながら、紫苑のことを思い出しては胸が苦しくなる。
これで、リセットできるだろうか。
駅に到着すると地下鉄に乗り換えて、通っていた塾がある駅に向かう。
今日は土曜日だから、午前中から塾に行っているはず。
昼休みに、塾のそばの公園でゲームをするのが常だった。
想定通りに、八年前の私が公園のベンチに座っている。
近くのコンビニで買ったのだろう、パンと飲み物の袋を横に置き、ゲームに興じている。
家では禁止されていたから、隠れて外で遊んでいたのだ。
八年ぶりに見る自分の姿ーー
雰囲気は、ちょっとだけ、絵梨花に似ているかもしれない。
本音を言えなくて、黙って我慢してしまうところとか。
勉強するのは嫌いじゃないけど、当時は義務感だけだった。
両親が高校教師だからって、そのレールに乗っていただけ。
私は、本当に教師になるべきだったのだろうか。
「……どうするにゃ? 今日を逃すと、ここにはもう来れにゃいよ? お金、もう残ってにゃいだろ?」
わかってるーーわかってるんだけど。
改変したら、今までやってきたことが無駄になる。
紫苑を好きな気持ちは消せるけど、全てなかったことになってしまう。
忘れたいけど、忘れたくないよ。
絵梨花の心残りも、晴らすことはできない。
あんなに優しい家族に、わだかまりを残したまま娘の死を迎えさせてしまう。
みんなに幸せになってほしいのに。
ーー絵梨花の願いを叶えるって、決めたじゃない。
「……これで、良かったのかにゃ?」
私は結局、過去の自分に接触するのをやめた。
思い返せば、悪いことばかりじゃなかった。
楽しいことも、たくさんあった。
教師になったのも、結局は自分の選んだ道。
この世界に来て、教えることが好きな自分に気付けた。
生きていられたとしたら、もう一度、教師をやりたい。
私がこのまま死んだとしても、紫苑の家族のわだかまりは解けている。
それだけで、私がここに来た意味はあったのではないか。
ーー私は最期まで、こちらの世界で生きることを選んだ。
窓の外を眺めながら、紫苑のことを思い出しては胸が苦しくなる。
これで、リセットできるだろうか。
駅に到着すると地下鉄に乗り換えて、通っていた塾がある駅に向かう。
今日は土曜日だから、午前中から塾に行っているはず。
昼休みに、塾のそばの公園でゲームをするのが常だった。
想定通りに、八年前の私が公園のベンチに座っている。
近くのコンビニで買ったのだろう、パンと飲み物の袋を横に置き、ゲームに興じている。
家では禁止されていたから、隠れて外で遊んでいたのだ。
八年ぶりに見る自分の姿ーー
雰囲気は、ちょっとだけ、絵梨花に似ているかもしれない。
本音を言えなくて、黙って我慢してしまうところとか。
勉強するのは嫌いじゃないけど、当時は義務感だけだった。
両親が高校教師だからって、そのレールに乗っていただけ。
私は、本当に教師になるべきだったのだろうか。
「……どうするにゃ? 今日を逃すと、ここにはもう来れにゃいよ? お金、もう残ってにゃいだろ?」
わかってるーーわかってるんだけど。
改変したら、今までやってきたことが無駄になる。
紫苑を好きな気持ちは消せるけど、全てなかったことになってしまう。
忘れたいけど、忘れたくないよ。
絵梨花の心残りも、晴らすことはできない。
あんなに優しい家族に、わだかまりを残したまま娘の死を迎えさせてしまう。
みんなに幸せになってほしいのに。
ーー絵梨花の願いを叶えるって、決めたじゃない。
「……これで、良かったのかにゃ?」
私は結局、過去の自分に接触するのをやめた。
思い返せば、悪いことばかりじゃなかった。
楽しいことも、たくさんあった。
教師になったのも、結局は自分の選んだ道。
この世界に来て、教えることが好きな自分に気付けた。
生きていられたとしたら、もう一度、教師をやりたい。
私がこのまま死んだとしても、紫苑の家族のわだかまりは解けている。
それだけで、私がここに来た意味はあったのではないか。
ーー私は最期まで、こちらの世界で生きることを選んだ。
