放課後、今日も紫苑と一緒に帰る。
「紫苑くん、来週、実力テストだって。楽しみじゃない?」
「はぁ!?」
紫苑が、驚き呆れたような顔で私を見る。
「だって、頑張ったら成績に出るのって、嬉しくない?」
「この前から、何言ってんの? 勉強は苦手だろうが、お前は」
心底呆れた顔をするので、戸惑ってしまう。
「……そうなの?」
おかしいな。
私はどちらかといえば、できる方だと思うんだけど。
ということは、私よりできる人がたくさんいるってことなのかな。
こうしちゃいられない、家に帰ったら勉強しなきゃ。
部屋に戻り、教科書とノートを開いてみる。
教科書の内容は、普通にわかる。
ーーやっぱり、できる方だと思うんだけどな。
でも、ノートを見て驚いた。
断言して言える。
ーーこれは、私が書いたノートではない。
要点がまとめられていない。
黒板をそのまま書き写しただけの、理解ができていない人のノートだ。
その前に、私、こんな字だったっけ?
横に自分の字を並べて書いてみたのだが、筆跡が違う。
几帳面に丁寧な字で、黒板を書き写しているのはわかる。
でも、私がいくら丁寧に書いても、こんなに綺麗な文字は書けない。
記憶喪失になったら、筆跡まで変わることがあるのだろうか。
もしかすると、記憶喪失じゃなくて、二重人格なのでは?
元の人格とは違う私になってしまっている?
もし二重人格なら、いつか元の人格が戻って来たら、私はどうなるんだろう。
いつか、自分が消えてしまうかもしれないーーそれは怖い。
でも今、この体を動かしているのは私なのだから、私が本体として生きるしかない。
ーー今度、定期通院の時に、相談してみようかな。
*****
数日後、保健室で受けた実力テストも、無事に終った。
結果 学年総合:8位 数学:2位
一応、苦手な教科はあるし。
ケアレスミスもあったから、まぁ、こんなもんでしょ。
「……嘘……だろ……」
廊下に貼り出されている順位表を見ながら、隣で紫苑が絶句している。
「お前、ビリから数えた方が早かったよね……どんな手を使った……」
順位表から目を離せないまま、小声でつぶやいている。
「ほら、言ったでしょ? 何もしてないんだけど、なぜか解けるんだよ。……もしかすると、私は、二重人格なのかも……」
そう言いかけたところで、私の周りにたくさんの人が集まってきた。
「橘さん、すごい!」
「こんなに勉強できたんだね!」
「今度、私にも教えて!」
みんなが私を取り囲み、感嘆の声を上げている。
ーーということは、やはり記憶を失う前の私は、成績が良くはなかった(むしろ、悪かった)ということなのだろう。
「いや、それほどでも」
当然の結果とは思いつつ、褒められるのは素直に嬉しい。
担任からクラス名簿と写真を見せてもらっていたので、この子たちがクラスメイトであることはわかる。
みんな明るくて、楽しそうなクラスだなーーそう思った。
記憶を失ったままでの学校生活に不安はあったけど、私らしく過ごせば、受け入れてもらえるかな。
そろそろ保健室からクラス登校に移行しても、いいかもしれない。
「紫苑くん、来週、実力テストだって。楽しみじゃない?」
「はぁ!?」
紫苑が、驚き呆れたような顔で私を見る。
「だって、頑張ったら成績に出るのって、嬉しくない?」
「この前から、何言ってんの? 勉強は苦手だろうが、お前は」
心底呆れた顔をするので、戸惑ってしまう。
「……そうなの?」
おかしいな。
私はどちらかといえば、できる方だと思うんだけど。
ということは、私よりできる人がたくさんいるってことなのかな。
こうしちゃいられない、家に帰ったら勉強しなきゃ。
部屋に戻り、教科書とノートを開いてみる。
教科書の内容は、普通にわかる。
ーーやっぱり、できる方だと思うんだけどな。
でも、ノートを見て驚いた。
断言して言える。
ーーこれは、私が書いたノートではない。
要点がまとめられていない。
黒板をそのまま書き写しただけの、理解ができていない人のノートだ。
その前に、私、こんな字だったっけ?
横に自分の字を並べて書いてみたのだが、筆跡が違う。
几帳面に丁寧な字で、黒板を書き写しているのはわかる。
でも、私がいくら丁寧に書いても、こんなに綺麗な文字は書けない。
記憶喪失になったら、筆跡まで変わることがあるのだろうか。
もしかすると、記憶喪失じゃなくて、二重人格なのでは?
元の人格とは違う私になってしまっている?
もし二重人格なら、いつか元の人格が戻って来たら、私はどうなるんだろう。
いつか、自分が消えてしまうかもしれないーーそれは怖い。
でも今、この体を動かしているのは私なのだから、私が本体として生きるしかない。
ーー今度、定期通院の時に、相談してみようかな。
*****
数日後、保健室で受けた実力テストも、無事に終った。
結果 学年総合:8位 数学:2位
一応、苦手な教科はあるし。
ケアレスミスもあったから、まぁ、こんなもんでしょ。
「……嘘……だろ……」
廊下に貼り出されている順位表を見ながら、隣で紫苑が絶句している。
「お前、ビリから数えた方が早かったよね……どんな手を使った……」
順位表から目を離せないまま、小声でつぶやいている。
「ほら、言ったでしょ? 何もしてないんだけど、なぜか解けるんだよ。……もしかすると、私は、二重人格なのかも……」
そう言いかけたところで、私の周りにたくさんの人が集まってきた。
「橘さん、すごい!」
「こんなに勉強できたんだね!」
「今度、私にも教えて!」
みんなが私を取り囲み、感嘆の声を上げている。
ーーということは、やはり記憶を失う前の私は、成績が良くはなかった(むしろ、悪かった)ということなのだろう。
「いや、それほどでも」
当然の結果とは思いつつ、褒められるのは素直に嬉しい。
担任からクラス名簿と写真を見せてもらっていたので、この子たちがクラスメイトであることはわかる。
みんな明るくて、楽しそうなクラスだなーーそう思った。
記憶を失ったままでの学校生活に不安はあったけど、私らしく過ごせば、受け入れてもらえるかな。
そろそろ保健室からクラス登校に移行しても、いいかもしれない。
