あの川に行っても何も思い出せないのだから、現時点ではもうお手上げだ。
学校に行けば、何か思い出せるだろうか。
特にやることがなくゴロゴロしていると、部屋の隅に落ちている靴下を見つけた。
使用前なのか、使用後なのか。
よくわからないので、一応洗濯することにした。
家の中で母の姿を探すが、どうやらいないようだ。
家の洗濯機を使うのは初めてだけど、まぁ、普通に使えるでしょ。
洗濯カゴの中には、洗う前の洗濯物がたくさんあった。
全部まとめて洗っちゃえ。
カゴに中にあるものを全部洗濯機に入れ、最後に自分の靴下も入れて洗濯開始のボタンを押す。
洗濯が終わるまで、リビングで過ごす。
お菓子を食べながらテレビを見るが、やっぱり何も思い出せないや。
ーー洗濯が終わったようだ。
カゴに取り出そうとする時、たまたま二階から降りてきた紫苑に、声をかけられた。
「何してんの?」
「自分の洗濯物があったから、まとめて洗っとこうと思って」
「は?」
「いや、だから、まとめて洗濯したんだよ」
「それ、俺のもあるじゃん」
「ん? あってもいいじゃん」
私は、なぜ紫苑がそんなことを言うのか、理解できなかった。
「お前は、男の下着を洗濯しても、何とも思わないのかよ」
「ん? だって兄なんでしょ? 家族なんだから普通じゃないの?」
紫苑が、呆れ顔でため息をつく。
「あのな、俺は兄ということにはなってるけど、血は繋がってないの! 気にならないわけ?」
私としては、血が繋がっていようがいまいが、覚えていないわけだから、ただの家族としか捉えていなかった。
だから、別に分けなくてもいいと思っていた。
「だって、紫苑くんは、私を”家族”として見てくれてるわけでしょ? だったら、いいんじゃない?」
紫苑が、ますます呆れ顔になる。
「そりゃそうだけど。じゃあ逆に、お前の下着を俺に洗濯されて干されても、何とも思わないのかよ?」
私は、少し考えてみた。
「……あー、それは確かに抵抗あるかも! ごめん!」
なぜだかわからないけど、自分に家族がいることが嬉しくて、深く考えていなかった。
私が笑っていると、紫苑が言った。
「記憶がなくなるだけで、なんでこんなに性格変わるんだよ。前のお前は、自分のものは絶対に誰にも触れさせなかったんだけどな……部屋で干すからって。ほら、俺のはいいから、自分のだけ持っていけ」
洗った靴下だけを持って二階の部屋に戻ると、確かに窓の近くに、下着くらいは干せる空間があった。
ーーこういうところか。私が家族の和を乱していたのは。
とはいえ、確かに年頃の男女が同居するとなると、こういう問題は仕方がないのかも。
自分の事とは全く思えないが、過去の私の一欠片は、理解ができた気がした。
学校に行けば、何か思い出せるだろうか。
特にやることがなくゴロゴロしていると、部屋の隅に落ちている靴下を見つけた。
使用前なのか、使用後なのか。
よくわからないので、一応洗濯することにした。
家の中で母の姿を探すが、どうやらいないようだ。
家の洗濯機を使うのは初めてだけど、まぁ、普通に使えるでしょ。
洗濯カゴの中には、洗う前の洗濯物がたくさんあった。
全部まとめて洗っちゃえ。
カゴに中にあるものを全部洗濯機に入れ、最後に自分の靴下も入れて洗濯開始のボタンを押す。
洗濯が終わるまで、リビングで過ごす。
お菓子を食べながらテレビを見るが、やっぱり何も思い出せないや。
ーー洗濯が終わったようだ。
カゴに取り出そうとする時、たまたま二階から降りてきた紫苑に、声をかけられた。
「何してんの?」
「自分の洗濯物があったから、まとめて洗っとこうと思って」
「は?」
「いや、だから、まとめて洗濯したんだよ」
「それ、俺のもあるじゃん」
「ん? あってもいいじゃん」
私は、なぜ紫苑がそんなことを言うのか、理解できなかった。
「お前は、男の下着を洗濯しても、何とも思わないのかよ」
「ん? だって兄なんでしょ? 家族なんだから普通じゃないの?」
紫苑が、呆れ顔でため息をつく。
「あのな、俺は兄ということにはなってるけど、血は繋がってないの! 気にならないわけ?」
私としては、血が繋がっていようがいまいが、覚えていないわけだから、ただの家族としか捉えていなかった。
だから、別に分けなくてもいいと思っていた。
「だって、紫苑くんは、私を”家族”として見てくれてるわけでしょ? だったら、いいんじゃない?」
紫苑が、ますます呆れ顔になる。
「そりゃそうだけど。じゃあ逆に、お前の下着を俺に洗濯されて干されても、何とも思わないのかよ?」
私は、少し考えてみた。
「……あー、それは確かに抵抗あるかも! ごめん!」
なぜだかわからないけど、自分に家族がいることが嬉しくて、深く考えていなかった。
私が笑っていると、紫苑が言った。
「記憶がなくなるだけで、なんでこんなに性格変わるんだよ。前のお前は、自分のものは絶対に誰にも触れさせなかったんだけどな……部屋で干すからって。ほら、俺のはいいから、自分のだけ持っていけ」
洗った靴下だけを持って二階の部屋に戻ると、確かに窓の近くに、下着くらいは干せる空間があった。
ーーこういうところか。私が家族の和を乱していたのは。
とはいえ、確かに年頃の男女が同居するとなると、こういう問題は仕方がないのかも。
自分の事とは全く思えないが、過去の私の一欠片は、理解ができた気がした。
