僕の愛しい泥棒娘

メアリーヌ様は私達の事を応援していて下さ
るのがひしひしと伝わる。

でも私はアウスレッド様には、相応しくない
のだ。それを言うべきだと思った。

「ありがとうございます。でも、私はアウス
レッド様にふさわしくはないのです
孤児だと言うのもそうですし、学校にも行っ
ていません。知識は本ですべて学びました。
それに、私は泥棒なのです。貴族の家に忍び
込んで宝石や現金を盗んでいたのです。その
お金で孤児院を応援したり“シャウルー”を
オープンする資金にもしました。そんな女な
んです。どこかの養女になったとしても、
上辺を取り繕うだけで直ぐに化けの皮は剥が
れます」

「知ってるわ。アウスレッドがすべて話して
くれたのよ。ワイナリー家の陰謀を阻止でき
たのも、排除できたのもすべてユミアのお陰
だと言っていたわ。あなたはそんな悪徳貴族
からお金を取って孤児院や困っている人々を
助けてきたんだってね。”神の手の使い“って
呼ばれているそうね。孤児や貧困層の女性達
にも救いの手となるような社会貢献をしてい
るわ。そんなあなたの事を誇りに思うわ」

それを聞いてユミアは泣けてしまった。

メアリーヌ様はユミアの体をそっと抱きしめ
て背中をトントンとしてくれた。

母親が生きていたらきっとこんな風に温かい
のだろうとメアリーヌ様の体温を感じてユミ
アは心の中で”母さん“と呼んでいた。