僕の愛しい泥棒娘

「ひゃ~、アウトレッド様ってすごく一途な
人なんだね。でも、本当にそうしそう」

「私、隣国に行こうかなあ、皆には知らせな
いで隣国なら貯えもしてあるから行っても困
らない程度は用意はしてあるし向こうで店を
やってもいいし」

「ええ~っ、”シャウルー”はどうすんのよ。
ユミアが居なければ、どうしようもないよ」

「あら、サリーヌが居れば大丈夫よ。
“シャウルー”はサリーヌがやっていけるわ。
何かあれば連絡をしてもらえば相談に乗るわ」

「馬鹿言ってないで、お風呂に入って寝なさ
いよ」

そう言ってサリーヌに追い出された。

ユミアは隣国にいざという時の貯えをしてい
るのだ。

貴族の家に忍び込んでいた時も身元がばれそ
うなときは隣国に逃げる準備をしていた。

それは今も続いている。隣国の会社に投資も
しているので、かなりの資産を隣国に持って
いるので生活に不安はない。家も買ってある

ではアウトレッドを忘れられるかというと応
えは否だ。生涯きっと忘れられない唯一の人
なのだ。

はじめてアウスレッドを意識したのは、ワイ
ナリー公爵家に忍び込んで、テイアラを取り
返して誓約書を移して帰った夜に、遅くなっ
たユミアを心配して待っていたアウスレッド
が、ユミアが帰って来た時に、安心して思わ
ずユミアをふんわりと抱きしめたのだ。

その時ユミアはアウスレッドのたくましい体
躯と何とも言えない男らしく爽やかな匂いに
くらくらしたのだ。