僕の愛しい泥棒娘

アウスレッドは内心それを憂いていた。

ユミアと結婚したいと思っているアウスレッ
ドは公爵家の跡継ぎは弟に譲り自分は平民と
なりユミアの隣に居ることを考えていた。

ユミアは貴族にはなりたいと思っていない。

それならアウスレッドがユミアと同じ平民に
なればいいだけだ。

公爵家の嫡男も宰相の地位もユミアを得られ
ないなら意味はない。

まだユミアに結婚を申し込んではいないけれ
ど指輪はもう用意してある。

母親にはユミアの事はすべて話してユミアが
貴族になるのが嫌ならアウスレッドが平民に
なるつもりだとも言っている。

母親には“きっとユリアは貴族にはならないわ
ね。そしてアウスレッドがすべてを捨てて、
平民になるのも受け入れられないわよ“と言わ
れている。

“ならどうすればいいんだよ“と言うと”自分で
考えなさい“と突き放された。

アウスレッドは平民になってもアズナール商
会に入って、商会をもっと大きくしていく事
ができると自信を持っている。

叔父のアズナール男爵も商会をアウスレッド
が引き継いでくれるなら喜んで任せると、言
ってくれている。

今の商会が大きくなったのもユミアの特許や
製作工房の存在と陰でアウスレッドが商会の
経営アドヴァイスをしているからなのだ。

アズナール男爵にはあまり商才はない。

ユミアの方が先を見て堅実に計画を立ててい
る。アウスレッドはユミアと二人で商売をし
てみたいと思っているのだ。

それにはまずユミアに結婚の申し込みをして
承諾してもらわなければならない。