僕の愛しい泥棒娘

ユミアはアウスレッドの爽やかで少しウッデ
イな男らしい香水の匂いを夢見心地で胸一杯
に吸い込んで初めての口づけに酔いしれた。

最初は触れあうだけの優しい口づけだったが
唇を食んだりユミアが息継ぎに少し口を開け
ると直ぐに舌をユミアの口の中に差し込んで
きて舌を絡める激しい口づけを繰り返した。

ユミアは抵抗もできなくてただアウスレッド
の上着を掴んで胸に縋っていた。

唇は激しい口づけで少し腫れている。

「ダメだ、これ以上はもう理性が焼き切れる
ユミアを帰せなくなりそうだ」

そう言うとアウスレッドは、ユミアを離して
裏門から馬車に乗せて店の近くまで送ってく
れた。

店の前まで行くと、変装した意味がないから
だ。

次の日、今日は侍女風に変装したユミアを少
し離れた路地裏で侍従の操る小さな馬車で、
公爵邸まで送ってもらった。侍従は

「私も邸内に侵入しています。今日は沢山の
侍従も臨時に雇われているので、潜り込んで
います。2階に人がいなくなったタイミング
で、声を掛けます」

「わかりました」

ユミアは公爵邸の裏門で降ろされて、公爵邸
で侍女の服を渡されて着替えた。

奥様同士のお茶会は広い温室の中で行われ
るようでユミア達は、キッチンから軽い料理
とお菓子の乗ったお皿を温室に運んだ。

中の広間では男性陣の会議があるようで、ユ
リアはなるべく邸内の準備になるように動い
ていた。


1時間ほどした時アウスレッドの侍従が雇わ
れた騎士の服を着ていたのだが、廊下でユミ
アとすれ違いざまに”今2階には誰もいない“
と言った。