僕の愛しい泥棒娘

そう言ってアウスレッドは、黒いリボンの中
央に花の形にビーズが付いたバレッタをユミ
アに渡した。

「わあ、素敵。大人っぽくて上品ね」

「気に入ってくれてよかった。僕だけがユミ
アを分かればいいんだ。じゃあ明日の1時に
うちの侍従が迎えに行ってユミアを公爵邸に
連れて行ってくれるから、彼の指示に従って
欲しい」

「はい、わかりました」

そう言うとユミアはアウスレッドの部屋を出
て行こうとソファーから立ち上がった。

アウスレッドは素早くユミアの側に来てそっ
と抱きしめた。

そして、低くセクシーな声で

「絶対に無理をしないで、ユミアが捕まった
り怪我をしたりしたら自分が許せなくなる。
ユミアには傷1つ付けたくないのに、こんな
事を頼まないといけない自分が情けない
よ」

アウスレッドは明日の決行が決まった時に、
宰相にこの誓約書を取って来てくれた者にも
う一度頼んで裏帳簿を取って来てもらえない
か頼んでみて欲しいと、言われたのだ。

アウスレッドもユミアならどさくさに紛れて
また、書斎に忍び込むことは可能かもしれな
いと思ったが、危険がないとは言えない役目
を、大切に思うユミアに頼むのは辛かった。

「大丈夫ですよ。必ず裏帳簿を取って来ます
から心配しないで任せて下さい」

そう言うユミアに思わず手を伸ばしてぎゅっ
と抱きしめて離さない。

アウスレッドははっとしたようにユミアを少
し話すと首筋に口づけた。

それはだんだんと上に上がって来てユミアの
頭を抱え込むようにすると、唇に優しい
口づけをした。