僕の愛しい泥棒娘

その注文書が届いた時点でダミアン商会の代
表であるダミアン男爵が王宮に呼ばれた。

そして騎士団総長カリアスの厳しい尋問が始
まった。カリアス総長に堕とせない犯罪者は
いないと言われている。

あまりの恐ろしさに失禁したものは数えきれ
ず、例にもれずダミアン男爵も陥落した。

隣国から送られてきたダミアン男爵の直筆の
サインがある注文書を見せられ、カリアス総
長はお前が全容を離さなければ、全てに罪を
お前一人が被ることになるのだぞと脅した。

”そうなれば後の皆はほっとするだろうが、
お前の家族、親戚一同、夫人の親戚一同も従
業員は下働きの者まで、全員処刑だ”と言っ
た。

そして誓約書の写しを見せられたダミアン男
爵は、そこまで知られているならもう逃げら
れないと観念したようだ。

この武器はワイナリー公爵が注文した事また
矢じりに塗った毒も毒蛇もワイナリー公爵に
謂れて手に入れて渡した事なども、あらいざ
らい気持ちがいいくらいに喋ってくれた。

ダミアン商会との裏取引の同意書もあるだろ
うと、鎌をかけたら青くなってその覚書も提
出した。

そして自白調書にもサインした。そこまで5
日間を要した。お茶会は2日後に迫っていた

明日のお茶会にはダミアンも呼ばれているの
で今更不参加は疑われるだろうから、出席す
るように言った。

自白した事と、こちらにすべて話した事で情
状酌量を約束して帰した。

逃亡すれば家族全員、一族郎党に従業員まで
も処刑されるとカリアス総長がしっかり脅し
たので大丈夫だろう。

そしてアウスレッドは最後に一つユミアにお
願いしなければいけない事があった。

その日連絡して夜に変装したユミアが公爵邸
を訪れた。

アウスレッドはユミアを自分の部屋に入れて
ソファーに座らせると自分はその前に膝まづ
いてユミアの両手を取って、

「ユミア、もう二度と貴族の家に忍び込まな
いでと約束させたくせに、こんな事をお願い
しなければいけないのはすごく気が咎めるん
だ。実はアズナール男爵の情報でワイナリー
公爵一味を、何とか一網打尽にできそうなん
だ」