僕の愛しい泥棒娘

アウスレッドは“母上だけユミアの料理を
食べてくるなんて狡い“と言って、この頃は
ずっと不機嫌なのよと言っている。

しかし避難生活が1ケ月続いた時王宮の影武
者が殺された。

夜中に忍び込んで腹に剣を突き立てたのだ。
そして、影武者だと気が付いて窓から逃げよ
うとしたところを近衛騎士に捕まり、毒を煽
ったという事だ。

しかしその犯人が第一騎士団の騎士だったの
でカリアス総長はじめ騎士団に衝撃が走った

その騎士の家族はもちろん一族郎党が捕まり
牢屋に入れられた。

犯人は誓約書のサインのあった下から3番目
の貴族だった。

子爵だったのだが、父親である彼もまた毒を
煽って息子に準じた。

きっと、何かワイナリー公爵に弱みを握られ
ていたのだろう。彼の迷いが見られたサイン
を、アウスレッドは再度確認して、なんとも
遣る瀬無い気持ちになった。

王宮でワイナリー公爵とすれ違う度に殴り掛
かりたい衝動と闘うのが辛い程だった。

国王陛下も同じ気持ちだろう。いやもっと怒
りを我慢されているに違いない。

罪もない影武者の女性が王妃に変わって命を
落としたのだ。

でもこれで相手側には王妃が避難している事
が分かってしまった。

コベルトン公爵家もダミアサール公爵家も警
護を増やして族の侵入に対処している。

カリアス総長とジョナリオの調査も遅々とし
て進まない証拠がつかめないのだ。

そんな時ワイナリー公爵家で1週間後にお茶
会が開かれると言う情報が入った。