僕の愛しい泥棒娘

これからはユミアとダミアサール家はあまり
接触しないようにしなければいけないと、言
われてちょっと気分が落ちるアウスレッドだ
ったが、それも王妃やユミア達を守る為なの
だから仕方がない。

ユミアの変装は完璧なので、何か込み入った
話がある時はユミアに公爵家に来てもらう事
になった。

そうして3人の影武者と3件の隠れ家は隠密
に注意深く警護も増やされてまずは、ダミ
アサール公爵家とコベルトン公爵家に王妃に
そっくりな影武者が移っていった。

空家とユミアの店の工事は急ピッチで進めら
れている。

空家の王妃の部屋も2階に作られ信頼できる
侍女頭と護衛を兼ねて女性騎士が侍女として
王妃の世話係になった。

1階にはキッチンとダイニングとリビングと
バスルームが使いやすく配置されパントリー
の奥から雑貨店の方のキッチンの横の納戸に
繋がっている。

また、2階には隠し部屋があり王妃一人位し
か入れない広さだが何かの時には時間が稼
げるようになっているのだ。

この家に料理人を置くわけにはいかないので
ユミアが料理を担当することになっている。

いつも昼や夜はユミアが作っているので、面
倒でもない。

人数が増えるだけだが、ただ、王妃様にユミ
アの料理が食べて頂けるのかは定かではない

そして なんとたった5日で工事を終えて、
空家の改装も整って王妃がこっそりと移って
来た。

店のカフェは全てが終わってから、きちんと
改装することにして今はカフェはほんの10人
程が入れる空間だけ作ってもらった。

平民の料理がお口に合うのか不安しかないが
そんな事も行っていられない。

侍女長も女性騎士も料理はしたことが無いと
いう事なのだどちらも貴族のお嬢様だそうで
致し方ない。

急に買う材料が増えては疑われるので、空家
のキッチンの方にも食材は豊富にストックさ
れるようになった。

これだけ気を付けていれば、王妃の居所が相
手に嗅ぎつけられる事はないだろうが、ユミ
アは念には念を入れてサリーヌと二人で何と
か乗り切ろうと頑張っている。

料理も、王妃様はとても美味しいと言って
喜んでしっかり食べてくれるので、作り甲斐
があるのだ、前世の記憶にあるものも頑張っ
て作っている。

この世界にもお米があるので、お昼はおにぎ
りやサンドイッチにコッペパンを焼いて、肉
や野菜を挟んでみたり炒飯も作ってみた。

炒飯やオムライスはことの他人気だった。
一番は鶏肉の唐揚げだ。これは王妃様は毎日
食べたいと言って侍女頭にあまり食べ過ぎて
太るとお産が大変だからと言って止められて
いたほどだ。

メアリーヌ様は時々変装をして平民の太った
おばさんに化けて店を訪れては、裏の通路か
ら王妃に会いに来ている。

そして必ず夜もご飯を食べてから帰るように
なった。

王妃様があまりにユミアの料理を絶賛するの
で食べたいと言ってその度にわざわざ2時間
かけて変装してくるのだ。

唐揚げを出したときは一つ持って帰って、料
理人に渡して研究させると言っていた。

家族の皆にも食べさせたいという事らしい。