僕の愛しい泥棒娘

公爵はとてもやさしい雰囲気の大きな人だ。
奥様は時々孤児院に慰問に来て下さるので、
ユミアは顔は知っていた。

「こんにちわ。ユミアと申します。今日は
お招きいただいてありがとうございます。
平民なのでマナーもわからない不束者ですが
よろしくお願いいたします」

「まあ、しっかりしていらっしゃるのね。
お若いのに自分で雑貨店を経営して
いらっしゃるんですものね。すごいわね」

「そうだよ。それに孤児院にも大いに貢献し
ているんだ。今孤児院の10歳以上の孤児は
全員読み書きと初歩の計算ができるのはユミ
アのお陰なんだ」

となぜかアウスレッドが自慢げに言った。

「いいえ、そんなことはないです。すべて院
長の采配のお陰です。アウスレッド様変な事
言わないでください」

「あら、私も院長から聞いているわ。ユミア
がいたからここまでになったんだと院長様は
おっしゃっていたわ。ジャガイモを作ろうと
言ったりそのレシピもユミアが考えたのよね
家でもフライドポテトやマッシュポテトは、
定番なのよ。ユミアのレシピという料理も、
いくつかあるそうね。また教えて欲しいわ」

そう言って奥様のメアリーヌ様はにこにこと
笑って下さった。

ルシアーノ公爵はそんなメアリーヌ様を優し
い蕩けそうな目でずっと見ていた。

「父上、そんなに呆けて母上を見つめている
と、よだれがたれそうですよ」

とシムソニオが言うと公爵は

「おっと、いけない。私の妻が美しすぎて
困る」

と言って本当に美しい奥様のメアリーヌ様を
エスコートして、食事をするダイニングルー
ムに向かい優しく椅子に座らせた。