僕の愛しい泥棒娘

「とりあえず、王女の成人の儀は済んだので
皆ほっとしている。テイアラはまた我が家に
帰ってきたんだが、保管場所にどこがいいか
相談に乗って貰えないか？」

泥棒の目で見て考えて欲しいと言う事なのだ
ろう。それなら協力できる。

「わかりました。誓約書の方はどうなってい
るんですか？」

「詳しくは離せないんだけど、宰相や国王陛
下にも見てもらっている」

「ワイナリー公爵は、テイアラがすり替えら
れているのに気が付いたんですか？」

「うん、王女の成人の儀の時にも何も言わな
かったから気付いていると思う。でもユミア
が言った通りどこにも届けは出していないよ
。警護の騎士は１０人ほど増やしたみたいだ
けどね」

と言ってウインクした。

それを見てユミアはケラケラと可笑しそうに
笑った。おかげで緊張は取れた。

公爵家に着くとアウスレッドの弟のシムソニ
オと妹のシャウリーヌが玄関で出迎えてくれ
た。

二人とも美しい顔立ちの令息と令嬢だった。

妹のシャウリーヌはアウスレッドに似ている
気がした。

まだ１２歳だと言う事なので将来はきっと美
しい令嬢になるのだろうとユミアは思ったの
だった。

弟のシムソニオは体もがっしりとして筋肉が
しっかりとついているのが分かる。

今１７歳で最高府の学校の騎士科に在籍して
いると言う事だった。

シムソニオは頭脳では兄に叶わないので自分
は武術の方に行ったのだと言っていた。

しばらくリビングでアウスレッドと二人の弟
妹と話していたら、公爵夫妻が入って来てア
ウスレッドがユミアを紹介してくれた。