僕の愛しい泥棒娘

“シャウルー“の帳簿もあってそんなに時間の
取れない中、断る事もできなくて結局引き受
けてしまったのだ。

この世界には計算機なる物もなく手計算する
しかなかったのだが、そろばんを思いついて
孤児に頼み込んで作って貰ったのだ。

とても上手にできたそろばんで珠は滑らかに
すべるし、間隔も均等で使いやすい。

珠は10桁まで作って貰ったので“こっちに
置いといて”という事までできるのだ。

それで2件分のカフェと自分の店の分も何と
か月に一度毎日の売り上げ表と支払いの領収
書を持ってきてもらう事を条件に承諾した。

今までは店に出かけて行って帳簿をやってい
たので、持ってきてもらえば自分好きな時間
にやれる。

それで今までの2.5倍分の手数料がもらえる
のだ。決まった金額が入ってくるのはとても
助かる。

そんなある日裏の空家の持ち主がやって来て
土地と家を買ってくれないかと言ってきた。

願ってもない事だったので、話を聞くとご主
人が亡くなって借金があることが分かりそれ
を返さなければならないので、この土地を売
りたいと言う事だった。

もし買い手がつかなければ、相手の言いなり
の金額でここが差し押さえられるらしい。

希望の金額を聞くとユミアの思っていた金額
よりもずっと安かったので、アウスレッドは
少し待って欲しいと言っていたが、連絡を取
る手段もないので、ユミアは家主の希望の金
額で買い取った。