僕の愛しい泥棒娘

でも、アウスレッドの金色の髪と海のように
青い瞳を思い出すとなぜかソワソワする。

本当に美しい王子様のような人なのだ。

この国には王女様が3人いらっしゃるが王
子様はいないので公爵家のアウスレッドは
きっとご令嬢達の婚約者候補の第一番目に
来る憧れの存在なのだろう。

アウスレッドがユミアに微笑むと彼の周りに
星が煌めいているように感じてしまう。

どうしてなのか分からないが、彼は特別なの
だろう。だから彼が言う事には、はいと頷い
てしまうのだ。

ユミアは店の帳簿をきちんとつけている。

１年ほど前に孤児院の手の器用な木工が得意
な子に材料を渡してそろばんを作って貰った

このそろばんがあれば、毎月の帳簿の計算も
日々の売上げの計算もすぐに済むので本当に
助かっている。

そんな時カフェのオーナーからもう一軒カフ
ェをオープンしたのでそちらの帳簿も付けて
欲しいと言われた。

勤めていたカフェを辞めてから１年程した時
に、カフェのオーナーから連絡が来て、毎月
の帳簿を付けてもらえないかと言ってきたの
だ。

ユミアの後に計算のできる男性を雇ったのだ
が帳簿の付け方がめちゃくちゃだったらしく
税の申告の時だけ見てもらっている税官士に
いつもの倍の料金を請求されてしまってユミ
アに泣きついてきた。

ユミアがつけてくれる帳簿は収支が毎月きち
んとわかるようになっているので、売上と支
払いのバランスも月単位で把握できるので、
経営の面でも助かるのだと言っていたが、大
体帳簿はその為に付けるのだから月ごとで収
支のバランスが分からなければ帳簿を付ける
意味がない。