アウスレッドはこれは自分だけの判断では
どうしようもないと事の重大さに肝が冷える
思いをしていた。

「それに、公爵家には裏帳簿がありそれも
隠し金庫にはありましたがそれは盗っては
来ませんでした。ダライアス商会の名前が
入った何かの覚書の様な物もありました。
中身は確認していませんが…」

「充分だ、テイアラが取り戻せればいいと
思っていたのに思わぬお土産が出て来て、
どちらかというとお土産の方が深刻な事に
なりそうだよ。本当にありがとう。孤児院の
隣接の土地やこの空き家の事も任せて欲しい
うちが前面に出ることはできないけれど絶対
にユミアの希望に沿うようにするから少し
時間をくれると助かる」

「はい、そんなに今すぐになんて思って
いないので、大丈夫です。この空き家と店の
方を買い取るのはこちらでやるので、
それは心配しないでください」

「その件についても考えている事があるから
少しだけ待っていて欲しい。絶対にユミアの
恩には報いたいと思っているんだ。ただ、
今度の事を僕が頼んだくせに言うのは
躊躇われるが貴族の家に忍び込むのはもう
止めて欲しいんだ。いつどんなことが起きて
捕まるかもわからない。いいね」

「はい、約束します」

「うん、よかった。また連絡する」

安心したのか顔を輝かせてアウスレッドは、
夜の闇に紛れて帰っていった。