僕の愛しい泥棒娘

ユミアは“シャウルー”で、忘れないうちに
紙に栽培場所や麻薬の生成場所について書き
留めておいたのでそれをアウスレッドに見せ
ながら説明した。

また、伯爵家の温室でも栽培していて、実験
室みたいなものまであると言うと茫然として
いた。

そして、屋敷の地下の事になると開いた口が
塞がらないようだった。

ユミアが隠し扉から地下に降りて行った事も
気に入らないようでそこで見た物を知らせる
と、絶句してすぐに忘れろと言った。

多分そこが秘密のクラブのようになっている
のだと思うと、アウスレッドは言っていた。

そして令嬢の事も報告するとそういう女だと
言って我慢ならないようだった。

一番報告するのに躊躇したが言わない訳にも
いかずお相手が補佐官の一人だと言うと、
頭を抱えてしまった。

もうそんな所まで麻薬に汚染されていて伯爵
の手が伸びていたのかとがっくり来てしまっ
たようだが、こうしてはいられない今から宰
相の自宅に行ってくると言って、侍従に馬を
用意させて出かけて行った。

こんなに夜遅くとは思ったが、すぐに動かな
ければならないだろう事もわかっていたので
ユミアは2階に上がって行って、子供達の寝
顔を見てそれぞれの額に口づけると、湯あみ
をしてベッドに入った。

疲れていたようで朝までぐっすり寝たが、
アウスレッドは帰ってこなかった。

アウスレッドはその日から1週間帰って
こなかった。