僕の愛しい泥棒娘

次の日すぐに公爵家の馬車が３台やって来て
ユミアと乳母と子供達は先に屋敷に送り届け
られた。

残してきた侍女や女中たちは皆目に涙を溜め
て喜んで迎えてくれた。

お義父様もお義母様も、片付けの間子供達を
見ているわねと言って連れて行ってしまった

その夜は迷惑をかけたお詫びにとユミアは、
義両親もシムソニア夫妻も呼んで皆に料理
を振る舞った。

屋敷に帰って落ち着いた頃。ユミアは“シ
ャウルー”にサリーヌを訪ねていた。

サリーヌにサテラン伯爵家の事を探って欲
しいとおねがいする為だ。

アウスレッドには内緒でサテラン伯爵家に、
忍び込んで違法薬物の元になる草と花の栽培
場所を探るためだ。

その違法薬物は中毒性が高くその薬がないと
狂ったようになってしまう人もいるらしく精
神障害を引き起こすと言う事だ。

そんなものを野放しにはできない。一刻も早
く根絶やしにしてもらわなくてはならない。

その為にユミアはもう６年ぶり位になるだろ
う忍び込みをやろうとしているのだ。

サリーヌのもたらした情報はサテラン伯爵夫
妻が今週末の王宮の大規模な夜会に出席す
ると言う事だった。

伯爵夫妻が夜会に出席するのは久しぶりだと
いう事らしい。サリーヌはそれを伯爵家の侍
女から聞きこんだ。

丁度アウスレッドも出席予定だ。本当はユミ
アに一緒に行って欲しそうだったのだが、ユ
ミアはちょっと疲れ気味なのでと言って今回
は申し訳ないが諦めてもらった。