僕の愛しい泥棒娘

そしてまずはどうしてそんな事になったかと
言う元々の話をしてくれた。

サテラン伯爵が違法薬物を作っていて、それ
をエクスポリア国にかなり流通させていると
いう疑いが持たれているのだが、薬草を育て
ている場所も売っている現場も抑えられてい
ないので、手の出しようがなかったのだ。

その令嬢が薬物中毒の様になっていると言う
情報がありアウスレッドが王宮での夜会の時
に近づいて反応を見ようとしたのだが、反対
に媚薬を盛られてフラフラになってしまった
所を伯爵家の護衛に休憩室に連れ込まれ、令
嬢と護衛はアウスレッドの服を脱がせて事を
なそうとしたらしい。

アウスレッドは短剣で足を刺して媚薬の効果
に逆らう様にしたが、それでも諦めない令嬢
に出て行かなければ、護衛に刺されたという
事にするぞと脅して、やっと二人を休憩室か
ら追い出したそうだ。

令嬢が服を乱してさも何事かあったように見
せかけたのも事実で、慌てて入って来た騎士
にジョナリオを呼んでもらい、王宮の自分の
部屋に連れて行ってもらい医師を呼んでもら
った。

そして医師に傷の手当と媚薬の解毒剤を処方
してもらったという事が真相なのだと言った
信じられないなら、医師を呼んでくるとまで
言った。

厚かましくもサテラン伯爵は公爵家にどなり
こんで来て、さもその夜アウスレッドと伯爵
令嬢が関係を持ったような事を匂わせて、
帰って行ったのだと言う。

その後、噂は令嬢が妊娠したと言う様な事に
なっていったのだと言う。これもサテラン伯
爵が広めたとアウスレッドは思っているよう
だ。