その夜遅く玄関のドアを激しくたたく音がし
て皆に緊張が走ったが、アウスレッドがやっ
て来たのだった。
明日まで待ちきれなかったと言って侍従がリ
ビングに通してユミアは夜着の上にガウンを
羽織ったままの格好でアウスレッドを迎える
事になった。
アウスレッドはユミアを見ると何も言えずに
ただ腕の中に閉じ込めて
「もう死ぬかと思った。ユミアに子供達に会
えなくて仕事もどうでもよくなって、ただユ
ミアに会いたくて王都中を探して回って孤児
院や“シャウルー”や製作工房やアズナール商
会に何度も言って皆に白い目で見られて、そ
れでも、誰かユミアの居所を教えてくれない
かと藁にも縋る思いだったのに、母上は最初
から知っていたって今日聞いて、頭から火が
出そうだった。とにかくユミアの近くに居た
くてもう寝ていたら朝まで玄関で、待つつも
りだったんだ。でも明かりがついていたから
ついドアを叩いてしまって皆を起こしたか
な?」
今更って思いながらも、顔もやつれて無精髭
もそのままに馬で駆けてきたアウスレッドを
追い返すこともできなかった。
子供達の泣く声が2階から聞こえてくると
“会いたい“と言って大きな犬がしっぽを垂
れるような情けない顔をしたアウスレッド
にダメだと言えなくて2階の子供達の部屋に
案内した。
て皆に緊張が走ったが、アウスレッドがやっ
て来たのだった。
明日まで待ちきれなかったと言って侍従がリ
ビングに通してユミアは夜着の上にガウンを
羽織ったままの格好でアウスレッドを迎える
事になった。
アウスレッドはユミアを見ると何も言えずに
ただ腕の中に閉じ込めて
「もう死ぬかと思った。ユミアに子供達に会
えなくて仕事もどうでもよくなって、ただユ
ミアに会いたくて王都中を探して回って孤児
院や“シャウルー”や製作工房やアズナール商
会に何度も言って皆に白い目で見られて、そ
れでも、誰かユミアの居所を教えてくれない
かと藁にも縋る思いだったのに、母上は最初
から知っていたって今日聞いて、頭から火が
出そうだった。とにかくユミアの近くに居た
くてもう寝ていたら朝まで玄関で、待つつも
りだったんだ。でも明かりがついていたから
ついドアを叩いてしまって皆を起こしたか
な?」
今更って思いながらも、顔もやつれて無精髭
もそのままに馬で駆けてきたアウスレッドを
追い返すこともできなかった。
子供達の泣く声が2階から聞こえてくると
“会いたい“と言って大きな犬がしっぽを垂
れるような情けない顔をしたアウスレッド
にダメだと言えなくて2階の子供達の部屋に
案内した。



