僕の愛しい泥棒娘

その日隠家に帰って来たユミアは、家の前に
公爵家の馬車が止まっているのをみて、サリ
ーヌの言葉を思い出して笑ってしまった。

でも、家のリビングに座って双子とケラケラ
笑いあっていたのはミアレーヌ様だった。

「ミアレーヌ様、ご迷惑をおかけして申し訳
ありません」

顔を見るなりユミアはそう言って頭を下げた

「あら、お義母さんとは呼んでくれないの?
寂しいわね。二人ともちょっと見ないうちに
大きくなって顔も変わったわね。ユリアンナ
は少し優しい顔になってアライアスは男の子
らしくやんちゃな顔をするようになった」

「そうですか。いつも見ているからわからな
いですが、確かに体重は1キロ程多くなりま
したけど、乳母の母乳がたっぷりで助かって
ます」

「ユミア様は母乳がパタッと止まってしまわ
れて、今私が夜は大変だろうと言って下さっ
て少し早いけれど薄いスープや甘い水なども
飲んでもらっています」

「まあ、ユミア。可哀そうにきっとショック
で母乳が止まってしまったのね。もう一人乳
母を見付けてくるから心配いらないわ。少し
だけ待っていてね」

乳母は子供達を寝かせると言って2階に二人
を連れて行った。

「ユミア、本当に申し訳ないわ。母乳が止ま
る程心労をかけてアウスレッドは、ユミアに
きちんと話すべきだったのに、結局隠してし
まった事でこんなことに、なっているんだか
ら、私も許せない気持ちは同じよ。
でもね、アライアスとユリアンナの事もよく
考えてね。二人から父親を取り上げてしまう
のはよくないわ。ユミアもよく分かっている
と思うけど、折角両親がそろっているんだか
ら子供達には両親のもとで育ってほしいと思
うの。私の我儘だけど…」