僕の愛しい泥棒娘

「うん、それはよく分かる。アウスレッド様
は今回ばかりは策を誤ったとしか思えない」

「今はね伯爵令嬢が妊娠しているっていう噂
になっているらしいわ」

「ええ~っ、何それ。笑って済ませれる状況
じゃないわね」

「貴族の社交界って恐ろしい所よね。だから
貴族は信用ならないし、嫌いよ」

「でもユリア、なんにしてもアウスレッド様
と話合わないとね。ユミアも分かってるでし
ょう」

「うん、でもまだ冷静に話ができない。きっ
とレッドを責めて傷つける事しか言えないと
思うから」

「それでもいいのよ。ユミアの傷ついた心と
ユミアが何を許せないかをアウスレッド様に
伝えないと、ユミアは十分傷ついたのよ。
アウスレッド様にもそれは分かってもらうべ
きよ」

「そうね。でもレッドも十分傷ついているは
ずだから…」

「本当に優しいのよね、ユミアって家を出た
のも、そんな言い争いをしたくなかったから
でしょう。気持ちを落ち着けたかったんだよ
ね」

「サリーヌには敵わないわね。
何でもお見通しなんだもん」

「いつからの付き合いだと思ってんのよ。
ユミ姉ちゃんは、私にとってはたった一人の
大切な家族なんだから」

「うん、ありがとう。ちゃんと話し合うわ」