僕の愛しい泥棒娘

残った者に事情を聴くとユミアが連れて行っ
たのは乳母と侍従と料理人だ。

それに双子の赤ちゃんを連れているのだ。
すぐに行き先は分かると思っていた。

よく調べると子供達やユミアの服はもちろん
の事、調理場の鍋や調味料、食材なども無く
なっている。

馬車1台に乗る量ではない。侍女に聞くと馬
車は3台来ていたそうだ。

裏門に貸し馬車が3台横付けされて荷物を載
せると皆別方向に走っていったと言う。

頭の良いユミアの事だ。見つからないように
行き先を知られないようにみんな別々の道を
通って行ったのだろう。

まずユミアのいく先を突き止めなければなら
ない。

馬車で行ったのならこの国だろう。また隣国
に逃げていくはずはない。

赤ん坊を2人も連れているのだからいくらユ
ミアでもそこまではしないだろう。

アウスレッドは“シャウルー”に行って、サリ
ーヌにユミアはどこに行ったか知っているな
ら教えて欲しいと頭を下げた。

「えっ、ユミアは家にいないんですか?なぜ
何があったんですか?子供達は?まさか置い
て行ったりしていないですよね?」

と反対に詰め寄られた。サリーヌは何も知ら
ないようだと思ったが、

「連絡してくるならあなたの所しかないと
思う。ユミアの行き先が分かったら絶対に
教えて欲しい。きちんとすべて話すからと
そう伝えて欲しい」

「わかりました」

サリーヌはとにかく知らぬ存ぜぬで通す決意
をした。実際、ほとんど何も知らなかったの
だ。

ユミアはこうなると予想してサリーヌには詳
しく説明しなかったのだろう。
さすがユミアだ。先をきちんと読んでいる。