僕の愛しい泥棒娘

義母は玄関でユミアを迎えるとすぐに応接間
にユミアを案内してくれた。
ユミアの顔色を見て

「ユミア、聞いてしまったのね」

そう言うとユミアを優しくそっと抱きしめて
くれた。

ユミアは“お義母様”と言うと泣き崩れた。

泣き止むまでミアレーヌ様はずっとユミアの
背中をさすってくれていた

泣き止むとユミアは毅然として顔を上げた。

「私、この所双子にかかりっきりでレッドに
きちんと向き合っていなかったんです。帰り
も待っていられなくて怪我をしている事にも
気が付かなかったんです。妻失格ですね」

「何言ってるの。双子ちゃんを育てるのは大
変よ。ユミアはほとんど一人でやってるもの
乳母も褒めていたわよ。すばらしい母親だっ
て」

「そうですね。素晴らしい母親でも、素晴ら
しい妻ではなかったって事ですよ。
お義母様達にも迷惑をおかけしたんですって
相手の方が乗り込んできたと聞いて、本当に
申し訳ありません」

「何言ってるの。申し訳ないのはこちらの方
よ。アウスレッドにちゃんと事情を聴いて。
噂とは随分違う事情があるみたい…でも、話
せないの一点張りなのよ。本当に頑固なんだ
から」

「私、ここを出ていきます。伯爵家ならその
令嬢の方がこの家とも釣り合いが取れますし
レッドも子供が生まれたばかりで言い出せな
かったんだと思います。でも子供達は連れて
行きます」

「ユミア、待ってそんなに早急に決めないで
レッドとちゃんと話し合って、お願いよ。
レッドはユミアがいなくなったらダメになっ
てしまうわ」