僕の愛しい泥棒娘

アウスレッドはユミアと知り合って過ぎた
5年の月日を思っていた。

旧ワイナリー公爵家の高い塀から軽々と飛び
降りてきたユミアを男だと思った事その後そ
の横顔を月光の元で見た時の心のときめきを
今もはっきりと覚えている。

凛として静謐な美しい横顔は、まるで月の
女神の様だった。

そっと顔を上げて月に語り掛けていたユミア
を見たその時から自分は恋に堕ちていたのだ
ろうと思う。

ユミアはアウスレッドの範疇を超えた逸材だ
自分の事より孤児院やその子供達の事を優先
する。

自分も恵まれた境遇で育った訳ではないはず
だが、自分は恵まれていたと言って孤児院や
貧困層の子供達を自立できるように支援し続
けている。

ユミアのすごい所は、ただお金を寄付するの
ではなく子供達の教育と自立を支援している
事だ。

今ではエクスポリア国の孤児院の実情はかな
り改善されている。各孤児院で畑を作り芋や
野菜を作って自分たちの食料事情の改善に取
り組んでいる。

土地の広い孤児院は小豆を作ったり、カモミ
ールやラベンダーなどの香草を作って収入に、
結び付けている所もある。

それぞれの孤児院が自分たちで何とかしよう
と言う気持ちで運営されるようになったの
だ。

読み書きも初歩の計算もほとんどの孤児院で
退所するまでには孤児は身に着けているよう
になった。

どれもこれも王都の孤児院の成功があったか
らだ。

一人の少女の発想と行動力と院長先生の
柔軟な考え方があり、今の成功に結び付い
ているのだ。