僕の愛しい泥棒娘

そしてエクスポリア国の経済も安定して伸び
続けている。

なだらかな右肩がりの成長がアウスレッドの
理想らしい。経済の急成長は必ずどこかに歪
が生まれると言う。

ユミアはその通りだなあと思う。やはりアウ
スレッドの国を導く手腕は大したものだ。

宰相も国王も手放したがらないのはよく分か
る。

アズナール商会ではそう言う訳にもいかず、
この2年で沢山の人が働く大きな会社組織に
なった。前世で言う営業の者がそろばんを片
手に隣国のセオドア国やバンダイナム国にま
で出掛けて行くので、またまたそろばんの需
要が増えてきた。両国でもそろばんを取り入
れたいと言ってきているのだ。

孤児院の子供達の多くは帳簿が、理解できる
ほど計算能力が高いと給料も高くもらえるし
就職先も困らないと知っているので、本格的
に算数ではない簿記の授業を希望する子供
達も増えてきた。

ユミアはアウスレッドに協力を得て平民が通
える学校を作った。

無料ではないが平民価格の授業料で、奨学金
制度も導入した。

働いてから少しづつ返済していくと言う事な
ので多くの子供たちが学校に通えるようにな
った。

12歳から3年間のカリキュラムで主には読み
書きとそろばんを使った計算ができる事が目
標なのだが、計算の習得が早い子には簿記を
教えるコースも作った。

その学校の生徒は優秀で簿記のコースを収め
た男の子は貴族の家令や執事見習いとして引
っ張りだこになった。