僕の愛しい泥棒娘

「ところで、宰相も陛下も公爵家の籍を抜け
ることなく筆頭補佐官としての仕事を、続け
ろとそうおっしゃっているんですね。ユミア
と結婚しますがユミアには貴族の付き合いや
仕来たりなんかは押し付けるつもりはないの
で、ユミアは今まで通り店や孤児院や工房の
方の仕事をしながら、二人でアズナール商会
を引き継ぐ事にしました。
補佐官メインで商会の方も、ユミアの相談に
乗ってやっていきます。そしてアズナール商
会をエクスポリア国一の商会にします。
先のワイナリー家の謀反でダミアン商会が破
滅したので今我が国の経済は混乱しています
からね。立て直しは私とユミアにお任せ下さ
い」

そう言ってアウスレッドは美しく微笑んだ。
何をやってもイケメンは様になるのだ。

第二王女は静かに礼をして部屋を出て行った。

彼女はアウスレッドが好きだったのだろうな
とその憔悴した顔を見てユミアは申し訳なく
思った。でもアウスレッドはもう誰にも渡せ
ない。

ユミアは公爵家に通ってメアリーヌ様やシャ
ウリーヌ嬢に貴族の振る舞いやマナーを、習
おうと思っている。

公爵夫人にはならなくても将来アウスレッド
は子爵を継ぐのだから子爵夫人として出来る
限りの付き合いをするつもりなのだ。

これから展開していく貴族向けのお店には貴
族のマナーや決まりごとは、知っていなけれ
ばならないのだと気付いたからだ。

メアリーヌ様はすごく喜んで下さって、ユミ
アの事は任せてとアウスレッドに言って下さ
った。頼もしい限りだ。