僕の愛しい泥棒娘

「先日、ダミアサール家で話し合いをして嫡
男は弟のシムソニアになりますが、私が籍を
抜かなければ公爵家が持っている爵位の子爵
を、シムソニアが公爵を継ぐときに賜るとい
う事になりました。でも僕は実際には平民に
なってユミアと一緒に商会を立ち上げて、エ
クスポリア国一の商会に育て上げると言う夢
もあるんです。その方面で国をサポートでき
ればとも思っているんですが、どうしても筆
頭補佐官でいなければいけないんですか?」

「当たり前だ。お前が居なくなれば宰相も儂
もどうしたらいいかわからないだろう。先日
のバンダイナム国の件なんか、お前が来るま
で1週間余り宰相は食事も出来ない程に落ち
込んでしまってたんだぞ」

「そんな事を偉そうに言ってどうするんだ。
バンは何でもアウスレッドに頼り過ぎなんだ
俺の息子だぞ」

と公爵が言えば

「はあ~?兄貴がリーヌと結婚したいが為に
儂に王位を押し付けて自分はぬくぬくと毎日
楽しそうに暮らしているくせに、黙ってろ。
父子揃って女にうつつを抜かして夢みたいな
事ばっかり言っていないで、せめて貴族とい
う責任を果たせ」

と兄弟げんかが始まりそうな勢いだ。
そこで第二王女が口を開いた。

「ユミアさん、先日お話ししてお教えした事
何もわかっていらっしゃらないんですね。
貴族や王族は国の益になるために結婚をする
もので自分自身の我儘を通すものではないと
言いましたよね。それでも自分の事が一番大
事なんですか?平民で孤児のくせに本来なら
王宮に入る事さえ不敬なんですよ」