僕の愛しい泥棒娘

その頃、アウスレッドは王宮の中の宰相の執
務室にいた。

「アウスレッド~~、どこに行ってたんだ。
間諜をバンダイナム国に置いてくれていて助
かったよ。大変な事になってるんだよ。どう
したらいいか決まらないんだ。国王と総長も
もうすぐ来るから…間にあってよかった」

宰相はほんの1週間ほど見ない間にすっかり
やつれている。アウスレッドは少し申し訳
ないと思ったが、顔には出さずしれ~っと
して

「僕が忍ばせていた間諜も呼んでください。
彼らから詳しく聞きたいので」

「えっ、彼らって独りじゃないの?」

「当たり前ですよ。そんな危ない事はしませ
んよ」

直ぐに国王や総長もやってきて、間諜も二人
揃うと詳細に報告してくれた。

一人は国王の側近の侍従でもう一人は騎士
団に入れていたので、その両方の情報が
取れる事に皆は感心していた。

国王の側近の侍従は、現国王はまだ若くて、
血気盛んのようで、鉱山の所有権を急に主張
し始めたようだが、国王の後ろにはその山の
麓を領地とする男爵がいて、後押ししている
ようだ。

その上その男爵の娘が国王の目に留まりメロ
メロになっていると言う事だ。

議会では2/3がその主張は通らないと言う意
見が占めていて、今まで何十年も友好的にエ
クスポリア王国とやって来たのに急に所有権
を主張するなんて、筋が通らずに周りの国々
にも警戒されると言う意見がほとんどだと言
う。調査して鉱山を見つけて採掘が出来るよ
うにしたのもエクスポリア国なのだ。