「乃愛、今日一緒に帰ろう」
氷王子の登場にざわっと教室内が一気に騒がしくなり、一斉に視線を向けられる。
げっと顔をしかめながら、そそくさと帰る支度をして後ろの扉から出ようとするが、さっきまで前の扉にいたはずなのに宙が目の前に立ち塞がってきた。
「なんで逃げるんだ?まだ肩全快してないんだろ?重たい鞄なんて持つなよ」
肩にかけていた鞄をさっと宙に取り上げられ、あんぐりと口を開けてしまう。
「いや、いい…ですよ。あんた…先輩が、そこまでしてくれる理由なんてないし」
廊下を歩く生徒たちが通り過ぎながら好奇な視線を向けてくるため、使いたくもない敬語で受け答えをする。
早くどっか行ってよ…!
「なんでそんなによそよそしいんだ?敬語じゃなくていいし、俺のことは宙って呼んでくれ」
「…いや、だからそんなことする理由が…」
本当になんなの?
それに、宙は乃愛が名前で呼ぶと氷のような視線で一瞥するだけで、絶対に返事を返してくれなかったのに。
宙の名前を呼ぶことが許されるのは、ただ一人。ヒロインだけなのに…。
氷王子の登場にざわっと教室内が一気に騒がしくなり、一斉に視線を向けられる。
げっと顔をしかめながら、そそくさと帰る支度をして後ろの扉から出ようとするが、さっきまで前の扉にいたはずなのに宙が目の前に立ち塞がってきた。
「なんで逃げるんだ?まだ肩全快してないんだろ?重たい鞄なんて持つなよ」
肩にかけていた鞄をさっと宙に取り上げられ、あんぐりと口を開けてしまう。
「いや、いい…ですよ。あんた…先輩が、そこまでしてくれる理由なんてないし」
廊下を歩く生徒たちが通り過ぎながら好奇な視線を向けてくるため、使いたくもない敬語で受け答えをする。
早くどっか行ってよ…!
「なんでそんなによそよそしいんだ?敬語じゃなくていいし、俺のことは宙って呼んでくれ」
「…いや、だからそんなことする理由が…」
本当になんなの?
それに、宙は乃愛が名前で呼ぶと氷のような視線で一瞥するだけで、絶対に返事を返してくれなかったのに。
宙の名前を呼ぶことが許されるのは、ただ一人。ヒロインだけなのに…。

