悪女の私がヒロインみたいに溺愛されてます!

愛されたことがない乃愛だから、うまく人を愛すことすらもできなかった可哀想な悪役。


「…」


…あれ?喋ろうとするのに、うまく言葉が出てこない。

それどころか、目の前がどんどん暗くなって…。



「…ん」


目を覚ますと、ピッピッピっと一定のリズムを刻む機械音が聞こえてきて、真っ暗な部屋でベッドの上に寝転がっていた。

ここは…どこだろう?


「…起きたのか」


シャッと仕切られていたカーテンが開けられ、光が差し込んできた。

眩しくて目を細めながらも声がした方に顔を向けると、宙が驚いたように目を見開いて立っていた。


「私…」

「意識を失って病院に運ばれたんだよ。三時間くらいは寝てたと思う。拉致される前に頭も殴られたんだろ?それに、病み上がりの体で無茶したから、軽い熱が再発して、今は点滴でやっと落ち着いたところ。殴られた肩は、骨に異常はないけど強い打撲だから絶対安静するようにって」

「…そうなんだ」