悪女の私がヒロインみたいに溺愛されてます!

逃げようとしていた女子三人組とガラの悪い男たちは警察によって次々と取り押さえられていた。


「宝槻さん、大丈夫!?」


ジンジンと痛む右肩をおさえながら、へらっと笑って駆け寄ってきた光莉に曖昧に頷く。


「警察呼ぶとか、やるじゃん。さすが夏目さんのナイトだね…」

「バカかおまえは!なんで俺のことまで助けたんだよ」


宙は私を抱き抱えながらなぜかひどく焦ったように表情を崩しながら怒鳴りつけてきた。

光莉以外にポーカーフェイスを崩すなんて、珍しい。


「はあ?目の前で殴られそうになってる人を助けない方がどうかと思うけど」

「…俺は、おまえに今まで散々ひどいことを言ってきたのに」


–––「近寄るな。汚らわしい」

–––「弱い者いじめをして何が楽しいんだ。おまえには心底軽蔑する」

–––「俺がおまえを好きになるなんて、この世界が滅んだとしてもありえない」


ぶわっと乃愛の記憶が頭の中に流れ込んでくる感覚がした。

乃愛は大事にされている光莉に嫉妬しながらも、そんな宙の妹想いなところも好きだったんだ。