悪女の私がヒロインみたいに溺愛されてます!

小説では光莉を助けたのは美羽だったけど、光莉を苦しめていた乃愛を学校から追いやったのは紛れもなく宙だから。

宙ならきっと光莉を助けにやってくるだろうと思ってその可能性にかけたんだ。


「おまえは…」


宙が何かを言いかけたところで、後ろからぬっと男が棒のようなもので宙に殴りかかろうとしているのが目に入った。


「あぶな…っ!」


咄嗟に宙を突き飛ばし、男が振り下ろした棒が右肩に思いっきり直撃する。


「…っ!」

「宝槻さん!」


光莉の驚いたような叫び声が聞こえ、前のめりになったまま倒れかけた私の体を宙が支えてくれた。

そのまま宙は棒を握りしめていた男を蹴り飛ばし、それと同時に中に警察が一斉に入ってきた。


「少女たちを拉致し暴行しようとしてる学生はおまえらだな!取り押さえろ!」

「クソっ!警察とか聞いてねぇぞ!」

「わ、私たちだって知らないよ!」