「あ、君!危ない…!」

「…へ」


ぼーと歩いていたからか、赤信号を無視して突っ込んできた車に反応するのが遅れて、まるでスローモーションかのように体がゆっくりと浮き上がった。


「…っ」


ダンっと勢いよく地面に打ち付けられ、あまりの痛さにすでに意識が飛びかけている。

なに…?なにが、起きたの?


「早く!誰か、救急車!」


ざわざわと騒がしい喧騒がだんだんと遠のいていき、ああそっかと理解する。

私、死んじゃうんだ。



「ごめんなさい、許してください…っ!わざとじゃないんです…!」


ボロボロと涙を流す女子生徒の髪を乱暴に掴んでいるのは紛れもなくこの私で、ハッと慌てて手を離す。


「…え?」


…なに?私、死んだんじゃなかったの?