悪女の私がヒロインみたいに溺愛されてます!

「夏目さんの優しさにつけ入るなんて、どれだけ自分たちが最低なことしてるかわかってるの!?夏目先輩に言えないんじゃなくて、言わないんだよ。大切なたった一人のお兄ちゃんだから、自分を溺愛してくれているお兄ちゃんだから、心配かけたくないって気持ちがわからないの!?」


乃愛には、乃愛を見てくれる家族すら誰一人いない。

お金があって大きな家に住んでいても、忙しくてなかなか帰ってこない両親がいない家は静かで寂しくて、より乃愛を孤独にしていた。

“だから、溺愛してくれる兄がいる光莉が羨ましかった”。


…そっか、羨ましかったんだ。乃愛の気持ちがすっと中に入ってきた気がした。

好きな人にも振り向いてもらえなくて、利用しようと近づいた妹に嫉妬するようになり、宙に言えず苦しんでいる光莉に気づいていたけど止められなかった。

乃愛は人をいじめることで、孤独な気持ちを押し殺してきたから。


「宙先輩に今からでも紹介してくれるなら、やめてあげてもいいけど?」


光莉は震えながらも、きっと三人組を睨みつけ顔を上げた。


「私がお兄ちゃんにあなたたちを紹介したって、あなたたちみたいな人にお兄ちゃんは絶対に振り向かない。あなたたちと付き合う男は心底見る目がないんだね」

「うわー生意気だなぁ。でもこういう強気な女が泣いてるとこ見るの好きなんだよねー」

「はあー本当ムカつく。もういいや、やっちゃって」