「私を間に挟もうとしないで、お兄ちゃんに面と向かって“連絡先教えてください”って言えばいいでしょ？あ、無理かあ。だってお兄ちゃんは私しか溺愛してくれないもんね？あなたたちみたいな醜い女子たちじゃ、相手にすらされないよね」

「な…っ！」

「だって本当のことでしょ？まだ面と向かってぶつかってくる悪女の方がマシだよ。直接話しかける勇気もないくせに、お兄ちゃんのこと好きでいるのやめたら？」

「悪女と一緒にしないで！」


鋭く睨みつけた女子生徒が、光莉の頬を平手打ちした。

光莉は負けじと睨み返しながら、拳を握りしめている。…だけど、その手は震えていた。


本来だったら乃愛のいじめが始まっている頃だけど、私が何もしないから他の子が光莉をいじめているということだろうか。

小説の力で、光莉は結局いじめられる運命は変わらないってこと？

それに私がいないからって、好き勝手悪口言っちゃって…。


「あんたたちが私みたいな悪女になろうなんて、百年早いんですけど」

「…え？な、なんで、悪…宝槻さんが、ここに…」

「人の悪口大声で言ってたみたいだけど、私にいじめられたいの？」


突然の私の登場に戸惑っていた三人組が慌てて首を横に振っていた。


「ち、ちが…こいつが！宙先輩の妹だからって調子に乗って、宝槻さんの悪口も言ってたの！」