美羽が転校してきてから一週間が経った。

それと同時に、慣れない体になったせいか、私は一週間風邪で寝込んでいて今日が久しぶりの登校日だ。


「見て、悪女だ…」

「平和だと思ってたのに、また学校来たんだ」

「天使みたいな転校生が来て早々いじめようとして、バレてバツが悪くなって休んでたんだろ？一生来なくてよかったのになー」


ヒソヒソと聞こえてくる陰口に耐えながら、なんでもない顔をして廊下を歩き進める。

風邪で休んでいただけなのに、さらに私の悪い噂が回っているようだった。

もう今更何も期待することはない。

なんて思われようとどうだっていい。

これからはただ息をするだけの毎日にすると決めたのだから。


教室の扉を開けると、騒がしかったクラスが一瞬にして静まり返った。


「乃愛ちゃん、おはよう！先生が風邪だって言ってたけど、体調はもう大丈夫？」


自席に着くと静寂を破るかのように美羽がにこっと優しく微笑みながら私に声を掛けてきた。

だけどそれに答えはしない。


「乃愛ちゃ…」