「乃愛ちゃん…」

「もうやめて!あんたに、あんたに私の何がわかるの!?そうだよ、私はみんなが言う通り悪女なの!弱い者いじめなんて日常茶飯事、みんなから嫌われてる、それが私なの!あんたとは違うの!」


傷ついたように顔を歪めた美羽に背を向けて走り去る。

どんな悪役にだって手を差し伸べてしまう。

困っている人を放っておけない。

優しくて、笑顔がよく似合って、愛嬌があってどんな人も虜にしてしまう。

みんなから愛されることが生まれた時から決まっている、この世界のヒロイン。

美羽をそんなキャラにしたのは、この私…。

私だって、乃愛なんかじゃなくて美羽になりたかったよ…。