てことは、小説の流れとは違って、乃愛以外の誰かが美羽に嫌がらせをしたってことだ。


「…どうしたの、って、自分がやったことなのに最低」

「人気者の転校生にまで手を出すなんて、どこまで醜いんだよ」


ハッと、美羽以外のクラスメイト全員が私を冷めたい瞳で見ていることに気づく。


「違う、私じゃない！」

「…え？」


美羽だけがわけがわからないといった純粋な瞳で、私とクラスメイトたちを交互に見比べていた。


「私は、やってない」


ヒソヒソと話していたクラスメイトたちが一斉に黙り、教室内がシーンと静まり返った。

誰一人、私の言葉を信じてくれる人はいない。


「あ、乃愛ちゃん…！」


引き止めてくる美羽の声を無視して、気まずい教室から飛び出す。

わかっていた。私が乃愛を“悪女”に作りあげたんだから。