次の日私は、あの教会へとやってきた。


あの頃と変わらない教会を見て、十年前に戻ったような錯覚を感じつつ中へ入った。



中を見渡して、私は思わず溜息を漏らした。


あの頃のまま綺麗なステンドグラス、真っ赤な絨毯、金色に輝くパイプオルガン、両脇に飾られた絵、なにもかもが以前と何も変わらない…。



私は、絵に近づき一つ一つ、ゆっくり見て歩いた。


最後の絵で立ち止まり、絵を見つめた。


それは、キリストが十字架に掛けられた後、聖母マリアとマグダラのマリア達が十字架から下ろし、キリストの死を悲しんでいる絵だった。