宇宙世紀0162年。第七コロニー群〈リュミエール〉は、再び静かな日常を取り戻していた。

コロニー中央広場には、白銀のモビルスーツが展示されている。機体名は〈RX-Λ・Re〉。その胸部には、ふたりの名前が刻まれていた。

「アヤ・ミナセとレイ・アルヴァ。彼らは、戦争を止めた“声”の記録者です」

案内役の女性が、見学に来た子どもたちに語る。

「この機体は、戦うためのものではありません。心を繋ぐための“記憶”です」

子どもたちは、機体を見上げながら、静かに耳を澄ませる。

風が吹く。

その風の中に、微かに響く“音”があった。

──君がいるなら、俺は迷わない。

──私も。あなたがいたから、生きてこれた。

それは、誰かの記憶ではなく、誰かの“祈り”だった。

コロニーの空に、星屑が流れる。

その光は、誰かの心に届き、誰かの未来を照らす。

そして、遠く離れた辺境宙域。

小型艇の中で、ひとりの少女が目を覚ます。

彼女の瞳は、淡い金色に輝いていた。

「……誰かの声が、聞こえた気がする」

その声は、確かに届いていた。

星屑より、君へ。