「私、不安だったんです。
ギル様は、私のことなんかどうでもいいんじゃないかって……。
毎日不安で仕方なくて、それで周りの人につい冷たく当たってしまってぇ……」
庇護欲を掻き立てるために瞳を潤ませる。
しかしギルバートは無表情でルーシーを見ている。
「でも、反省してるんです。
私、あなたの歌姫として、そして……妻として。
もっとちゃんとしなきゃって」
「……妻?」
その言葉に、ギルバートが眉根を寄せた。
ルーシーは焦ったように言い募る。
「え、だって、竜王様は歌姫を妻にするのでしょう?」
「……確かに代々竜王は、歌姫を生涯の伴侶とした。
しかしそれは、竜王自身がそう望んだからだ。
歌姫を妻にしなければならない決まりがあるわけではない」
そしてギルバートは、ルーシーを見つめはっきりと言い放った。
「今後、俺が君を妻にと望むことはないだろう」
「……え……?」
―――この歌声を手に入れてから、思い通りにならないことなんてなかった。
全てが順風満帆で、これからもそうであると疑わなかった。
それなのに、一番欲しいものが手に入らない。
「……どうして?
私の何がダメなんですか!?
あなたに一番相応しいのはこの私であるはずよ……!」
だって私は、あなたの歌姫。
私たちは運命で結ばれているはずだから。
「正直、今の君のことを
女性としてだけでなく、人としても好ましく思うことはできない」
ギルバートの言葉に、ルーシーは目を見開いて、それから必死に縋りついた。
「それなら私、あなたの好きなようになる……なってみせる……!
好き……ギル様が好きなんです……!」
しかしギルバートは依然として表情を変えない。
「……表面だけをいくら取り繕ったところで意味はない。
この機会に、今後の身の振り方をよく考えておくように」
そう言い残して去っていくだけだった。
ギル様は、私のことなんかどうでもいいんじゃないかって……。
毎日不安で仕方なくて、それで周りの人につい冷たく当たってしまってぇ……」
庇護欲を掻き立てるために瞳を潤ませる。
しかしギルバートは無表情でルーシーを見ている。
「でも、反省してるんです。
私、あなたの歌姫として、そして……妻として。
もっとちゃんとしなきゃって」
「……妻?」
その言葉に、ギルバートが眉根を寄せた。
ルーシーは焦ったように言い募る。
「え、だって、竜王様は歌姫を妻にするのでしょう?」
「……確かに代々竜王は、歌姫を生涯の伴侶とした。
しかしそれは、竜王自身がそう望んだからだ。
歌姫を妻にしなければならない決まりがあるわけではない」
そしてギルバートは、ルーシーを見つめはっきりと言い放った。
「今後、俺が君を妻にと望むことはないだろう」
「……え……?」
―――この歌声を手に入れてから、思い通りにならないことなんてなかった。
全てが順風満帆で、これからもそうであると疑わなかった。
それなのに、一番欲しいものが手に入らない。
「……どうして?
私の何がダメなんですか!?
あなたに一番相応しいのはこの私であるはずよ……!」
だって私は、あなたの歌姫。
私たちは運命で結ばれているはずだから。
「正直、今の君のことを
女性としてだけでなく、人としても好ましく思うことはできない」
ギルバートの言葉に、ルーシーは目を見開いて、それから必死に縋りついた。
「それなら私、あなたの好きなようになる……なってみせる……!
好き……ギル様が好きなんです……!」
しかしギルバートは依然として表情を変えない。
「……表面だけをいくら取り繕ったところで意味はない。
この機会に、今後の身の振り方をよく考えておくように」
そう言い残して去っていくだけだった。

