その言葉が真実になるのは、そう遠くなかった。
父が体調を崩すことが増えるようになり、母の歌姫としての力に翳りが見え始めた頃、世代交代―――つまり竜王の代替わりが見越されるようになった。
そして夢を見るようになったのも、その頃からだった。
夢の中で少女と出会い、歌声を聞いた時。
ギルバートの世界は一変した。
夢でしか会えない少女との再会を、歌声を熱望した。
また夢を見ると、次の夢を待ち望んで。
夢の中の少女は、いつの間にかギルバートの心を占め尽くす存在となっていた。
夢の中で会うだけの存在を、こんなにも求める自分が末恐ろしくもなりつつ、
しかし何よりも、竜王となった自分が、“来るべき時“に少女と再会することを渇望していた。
歌姫の有力候補となる人間の娘が見つかり、登城することが決まった。
その知らせを受けた時、ついにその時が来たのだと思った。
そしてその娘が白銀の髪を持つと聞いて―――ギルバートは歓喜した。
ああようやく、待ち望んだ存在に会えるのだと。
謁見の場に現れたのは、確かに銀の髪を持つ人間の娘だった。
しかし夢の中の少女と比べると、その輝きは見劣りするようで違和感を覚える。
その歌姫候補の名はルーシー。
ルーシーは自身が次の歌姫であることを証明するために、その場で歌を披露することになった。
そして彼女が歌い出した時、違和感は落胆へと変わる。
ルーシーの歌は実に洗練されたものだった。
謁見の場にいた者たちが感嘆の声を上げる。
(―――違う。彼女は、夢の中の少女ではない)
彼女の歌は、ギルバートが求めていたものではなかった。
高くてよく伸びる声。声質は似ていても、少女とは似て非なるもの。
(彼女は、俺の歌姫ではない)
直感のような何かが訴える。
しかしルーシーは、その歌声でその場にいた全員の瘴気を浄化していた。
それは彼女が次の歌姫であることの、何よりの証明。
竜王である父が、ルーシーを正式な歌姫候補として迎えることを宣伝する。
違う。俺の歌姫は―――心が叫ぶのを感じながらも、ギルバートはそれを受け入れざるおえなかった。
父が体調を崩すことが増えるようになり、母の歌姫としての力に翳りが見え始めた頃、世代交代―――つまり竜王の代替わりが見越されるようになった。
そして夢を見るようになったのも、その頃からだった。
夢の中で少女と出会い、歌声を聞いた時。
ギルバートの世界は一変した。
夢でしか会えない少女との再会を、歌声を熱望した。
また夢を見ると、次の夢を待ち望んで。
夢の中の少女は、いつの間にかギルバートの心を占め尽くす存在となっていた。
夢の中で会うだけの存在を、こんなにも求める自分が末恐ろしくもなりつつ、
しかし何よりも、竜王となった自分が、“来るべき時“に少女と再会することを渇望していた。
歌姫の有力候補となる人間の娘が見つかり、登城することが決まった。
その知らせを受けた時、ついにその時が来たのだと思った。
そしてその娘が白銀の髪を持つと聞いて―――ギルバートは歓喜した。
ああようやく、待ち望んだ存在に会えるのだと。
謁見の場に現れたのは、確かに銀の髪を持つ人間の娘だった。
しかし夢の中の少女と比べると、その輝きは見劣りするようで違和感を覚える。
その歌姫候補の名はルーシー。
ルーシーは自身が次の歌姫であることを証明するために、その場で歌を披露することになった。
そして彼女が歌い出した時、違和感は落胆へと変わる。
ルーシーの歌は実に洗練されたものだった。
謁見の場にいた者たちが感嘆の声を上げる。
(―――違う。彼女は、夢の中の少女ではない)
彼女の歌は、ギルバートが求めていたものではなかった。
高くてよく伸びる声。声質は似ていても、少女とは似て非なるもの。
(彼女は、俺の歌姫ではない)
直感のような何かが訴える。
しかしルーシーは、その歌声でその場にいた全員の瘴気を浄化していた。
それは彼女が次の歌姫であることの、何よりの証明。
竜王である父が、ルーシーを正式な歌姫候補として迎えることを宣伝する。
違う。俺の歌姫は―――心が叫ぶのを感じながらも、ギルバートはそれを受け入れざるおえなかった。

