そもそもギルバートは、歌姫の存在に懐疑的なところがあった。
現竜王である父にも、歌姫は存在する。
歌姫は現王妃でもあって、つまりはギルバートの母だ。
そんな2人は、誰もが見てわかるくらい互いを想い合っている。
特に父から母への溺愛っぷりは凄まじい。
それは息子であるギルバートが時に引くほどの熱量を持っていた。
竜王と歌姫が良好な関係を築くことは、国の安定に繋がる。
ギルバート個人としても両親仲が良いことは喜ばしいことで、不満はない。
しかし垣間見える両親の―――互いのためなら命も惜しまず全てを捧げるような
依存的とも言える重い愛を、恐ろしいと感じることもあった。
次代竜王であるギルバートには、これまでたくさんの女が近寄ってきたが、その誰にも心を動かされることはなかった。
そんな自分に、こんな風に愛を捧ぐ相手が現れるのか?
竜王は代々、歌姫となった人間を溺愛して、王妃に娶ってきた。
だからと言って、自分がそうであるとは限らない。
この国にとって、歌姫が欠かせない存在というのはよく理解している。
しかしきっと、歌姫―――その存在に出会っても、それが愛だの恋だのに形を変えることはないだろう。
そんなギルバートに対して、両親は
「いつかきっと、お前にも分かる時がくるよ」
そう微笑んでいた。
現竜王である父にも、歌姫は存在する。
歌姫は現王妃でもあって、つまりはギルバートの母だ。
そんな2人は、誰もが見てわかるくらい互いを想い合っている。
特に父から母への溺愛っぷりは凄まじい。
それは息子であるギルバートが時に引くほどの熱量を持っていた。
竜王と歌姫が良好な関係を築くことは、国の安定に繋がる。
ギルバート個人としても両親仲が良いことは喜ばしいことで、不満はない。
しかし垣間見える両親の―――互いのためなら命も惜しまず全てを捧げるような
依存的とも言える重い愛を、恐ろしいと感じることもあった。
次代竜王であるギルバートには、これまでたくさんの女が近寄ってきたが、その誰にも心を動かされることはなかった。
そんな自分に、こんな風に愛を捧ぐ相手が現れるのか?
竜王は代々、歌姫となった人間を溺愛して、王妃に娶ってきた。
だからと言って、自分がそうであるとは限らない。
この国にとって、歌姫が欠かせない存在というのはよく理解している。
しかしきっと、歌姫―――その存在に出会っても、それが愛だの恋だのに形を変えることはないだろう。
そんなギルバートに対して、両親は
「いつかきっと、お前にも分かる時がくるよ」
そう微笑んでいた。

