「この国の守護神なる偉大なる竜人様たちへ、日頃の感謝と更なる繁栄を込めた祈りの歌―――これを捧げることは、私たち聖なる乙女の義務よ。
それができないなんて、なんと罰当たりで罪深い……反逆者として牢獄されても文句は言えない立場なのよ?」

「ルーシー様のいう通りよ」「本当に、乙女の恥晒しだわ」

ルーシーの言葉に、周囲の者たちが同調する。
「それをこの“竜王の歌姫“筆頭候補である私が口添えしてあげているおかげで、あなたはこうして暮らしていられるの。
ねえ、そんな私に―――あなたが見せられる、最大限の誠意はなんだったかしら?」

そう言って首を傾げるルーシーのその瞳に
は、捕えた獲物を甚振るような残虐な光が宿っていた。

ルーシーが何を要求しているのか、カノンは十分に理解していた。
それでも……ぎゅっと手のひらを握る。

「ほら早く、ルーシー様をお待たせするんじゃないわよ」

「ああもう、鈍臭いわね。―――こうするのよ!」

躊躇を見せるカノンに苛立った声を上げた女たちが、数人がかりで乱暴にカノンを床に引き倒した。
閉ざされた喉は、呻き声さえも上げてはくれない。カノンは痛みに顔を歪める。

女たちはそのまま、カノンの頭を上から押さえつけた。