休憩は、ゆっくり昼食をとっても尚余るくらいの時間が設けられている。
ニアはいつもこの余暇を自室での昼寝に使うため、カノンは1人になる。
城の広い敷地の中、ひっそりと存在する裏庭。
そこに生えた大樹の下で、カノンは身体を休めていた。
見事な草花の咲き誇る中庭とは違って、どこか殺風景なこの場所に寄り付く人はそういない。
カノンだって暇を持て余した末の散策で、偶然見つけただけだった。
木陰に吹き込む穏やかな風を感じながら、自然と訪れる睡魔に船を漕いでいた。
誰もいなかったはずの空間に、ふと聞こえてきた足音。
それが目の前で止まって、カノンは顔を上げる。
(…………!)
「……君は……」
やってきたのは次代竜王―――ギルバートだった。
ギルバートは目を丸くしてカノンを見下ろす。
「人気のない場所をと思ってここに来たが……まさか先客がいたとは驚いた」
(あ……早く場所を空けないと……!)
「いや、いい。そのままでいてくれ」
慌てて立ちあがろうとするカノンを、ギルバートが止める。
(……でも……)
わざわざここを訪れたなら、きっと1人になれる場所を探していたのではないだろうか。
自分がいたら、邪魔になるのではないか。
浮かしかけた腰をそのままに狼狽えるカノンに向けて、ギルバートが言った。
「……そうだな、俺も少しお邪魔させてもらえるか」
少し間を離して、ギルバートはカノンの隣に腰を下ろした。
ニアはいつもこの余暇を自室での昼寝に使うため、カノンは1人になる。
城の広い敷地の中、ひっそりと存在する裏庭。
そこに生えた大樹の下で、カノンは身体を休めていた。
見事な草花の咲き誇る中庭とは違って、どこか殺風景なこの場所に寄り付く人はそういない。
カノンだって暇を持て余した末の散策で、偶然見つけただけだった。
木陰に吹き込む穏やかな風を感じながら、自然と訪れる睡魔に船を漕いでいた。
誰もいなかったはずの空間に、ふと聞こえてきた足音。
それが目の前で止まって、カノンは顔を上げる。
(…………!)
「……君は……」
やってきたのは次代竜王―――ギルバートだった。
ギルバートは目を丸くしてカノンを見下ろす。
「人気のない場所をと思ってここに来たが……まさか先客がいたとは驚いた」
(あ……早く場所を空けないと……!)
「いや、いい。そのままでいてくれ」
慌てて立ちあがろうとするカノンを、ギルバートが止める。
(……でも……)
わざわざここを訪れたなら、きっと1人になれる場所を探していたのではないだろうか。
自分がいたら、邪魔になるのではないか。
浮かしかけた腰をそのままに狼狽えるカノンに向けて、ギルバートが言った。
「……そうだな、俺も少しお邪魔させてもらえるか」
少し間を離して、ギルバートはカノンの隣に腰を下ろした。

