変わったのはそれだけではなかった。
侍女長の采配によって、他の人と一緒に仕事をすることが増えたカノン。
それによって、カノンがひたむきに仕事に取り組んでいることが、広く周知されることとなった。
そうなれば、“ルーシーの取り巻きの1人“でしかなかった周囲からの認識が変わるのも早かった。
「……これも食べれば」
隣に座るニアが、そう言ってスッと小皿に入ったデザートを差し出してくる。
カノンは遠慮して首と手を横に振るが、ニアは
「満腹になったからもういらないだけ」
そう言ってふいっと別方向を向いてしまった。
ニアはこうしてカノンに食事を分け与えようとすることが多々あった。
それはカノンのメイド服から覗く手足があまりにも細くて、今にも折れるのではないかと危機感を持ったからであったのだが、カノンはその内情を知らない。
けれどこれがニアの好意からくるものであるとは伝わっていたため、恐縮する気持ちと嬉しい気持ちが混ざり合ってくすぐったくなる。
「あーら、すっかり仲良くなっちゃって」
「本当にね、あの人間嫌いのニアが」
そんな2人の様子を見ていた侍女たちが、茶化すように言う。
「……別に、そんなんじゃない」
素っ気なくそう言ったニアが、「ただ」と言葉を続ける。
「この子は他の人間とは違う……そう思うだけ」
そんなニアとカノンの目があった。
「……こっちばっか見てないで、早くデザート食べれば」
照れ隠しのように言うニアに、カノンははにかみながら頷いた。
ニアを通じて、カノンの存在は、確実に竜人侍女たちに受け入れられ始めていた。
侍女長の采配によって、他の人と一緒に仕事をすることが増えたカノン。
それによって、カノンがひたむきに仕事に取り組んでいることが、広く周知されることとなった。
そうなれば、“ルーシーの取り巻きの1人“でしかなかった周囲からの認識が変わるのも早かった。
「……これも食べれば」
隣に座るニアが、そう言ってスッと小皿に入ったデザートを差し出してくる。
カノンは遠慮して首と手を横に振るが、ニアは
「満腹になったからもういらないだけ」
そう言ってふいっと別方向を向いてしまった。
ニアはこうしてカノンに食事を分け与えようとすることが多々あった。
それはカノンのメイド服から覗く手足があまりにも細くて、今にも折れるのではないかと危機感を持ったからであったのだが、カノンはその内情を知らない。
けれどこれがニアの好意からくるものであるとは伝わっていたため、恐縮する気持ちと嬉しい気持ちが混ざり合ってくすぐったくなる。
「あーら、すっかり仲良くなっちゃって」
「本当にね、あの人間嫌いのニアが」
そんな2人の様子を見ていた侍女たちが、茶化すように言う。
「……別に、そんなんじゃない」
素っ気なくそう言ったニアが、「ただ」と言葉を続ける。
「この子は他の人間とは違う……そう思うだけ」
そんなニアとカノンの目があった。
「……こっちばっか見てないで、早くデザート食べれば」
照れ隠しのように言うニアに、カノンははにかみながら頷いた。
ニアを通じて、カノンの存在は、確実に竜人侍女たちに受け入れられ始めていた。

